耐震管の切管は何故1種管なのですか?
Q9-6
- 耐震管の切管は何故1種管なのですか?
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2種管、3種管などの管で溝切りを行うと、溝部の管厚(残肉)が薄くなり、S形、GX形、NS形の有している離脱防止性能を損なうからです。
S形、GX形、NS形などの耐震継手ダクタイル鉄管は、地震時に地盤が大きく動いた時に挿し口突部とロックリングが引掛り離脱を防止する構造となっており、これら継手は3DkN(D:管の呼び径mm)もの引張り力にも耐えることができます。
工場から出荷される管には工場において溶接によって挿し口突部が取り付けられていますが、施工現場で切管をする場合(GX形でP-Link、G-Linkを使用する場合は除く)には、現地でこの挿し口突部を形成する必要があります。
図のように専用工具により切断・溝切りを行い(NS形の場合にはテーパ加工も行う)、この溝部に各々の切管用挿し口リングを取り付けることにより挿し口突部を形成します。
挿し口に溝切りを行うと、2種、3種管など管厚の薄い管では溝部の管厚(残肉)が薄くなり、3DkN(D:管の呼び径mm)の引張り力に耐えられなくなり、S形、GX形、NS形の有している離脱防止性能を損なうことになります。注1)S形は呼び径1100~2600㎜まで製品化されています。
したがって、挿し口に溝を加工するGX形(挿し口リング使用時)、NS形(呼び径75~450)、S形(呼び径1600以下)、US形(呼び径1800以下)では、切用管として1種管またはPF種管、NS形(呼び径500~1000)ではS種管、UF形ではPF種管を用います。なお、1種管には、受口端面部に「D1」と表示してあり、呼び径300mm以上の切用管には受口近傍の直部に白線表示がしてありますので確認の上切管して作業を行ってください。
注)S形管をこの方法で現地切管できるのは呼び径1600mm以下です。呼び径1650mm以上は、現地切管は通常行わずUF形管で切管調整することが望ましい。
なお、GX形で切管部にP-Link、G-Linkを使用する場合には、S種管での切管が可能です。また、呼び径75~450のNS形については、既設管の切管箇所に挿し口突部を形成する場合に使用する「切管用挿し口リング[タッピンねじタイプ(継ぎ輪接合用)]があり、この切管用挿し口リングを使用する場合では、1種管だけでなく、3種管などにも溝切りを行って挿し口突部を形成することができます。ただし、他の切管用 挿し口リングと溝切り加工の位置が異なりますので、この場合の挿し口は継ぎ輪にだけしか接合できません。