Q なぜ、パイプは丸い形なのでしょうか?
   
A 1. エネルギーロス(損失水頭)を小さくすることができます。
 上水道の場合、満水で送水する。この場合、同じ通水断面積を確保するのに円の場合が、管の壁面と水の接触する辺の長さが最小になる。(多角形の場合、「面積」と「辺の長さの和」の比は円の時に最大)これにより摩擦力が最小になり、送水時のエネルギーロス(損失水頭)を抑えることができる。

2. 管材料が少なくてすみます。
 1.と同じ理由により、同じ通水断面積を確保するのに最も管材料が少なくてすみます。

3. 管の内外圧に対して応力集中が起こりにくくなります。
 断面が多角形の場合、その頂点部分で応力集中を起こしやすいため肉厚を厚くしなければならないので経済的ではない。

4. その他に、円形の利点として、取り扱い易さ(転がすことができる)、継手接合のし易さ(円形には上下左右がない)などがある。
   

「鋳鉄」と「鋼」の相違点(定義づけ)は何ですか?
   
「鋳鉄」とは鉄(Fe)を主成分とし、炭素(C)を2%以上含有する鋳物の製造に用いるFe-C系合金である。厳密には、炭素(C)をオ―ステナイト(γ鉄)の最高固溶炭素量(C2.0%)まで含むものを「鋼」と呼び、炭素(C)量が2.0%を超えるものを「鋳鉄」と定義される。「鋳鉄」ではこのように比較的多くの炭素(C)が含まれているので一般的には基地に黒鉛として晶出する。
「鋳鉄」のうち、基地組織中の黒鉛が球状化しているものは「ダクタイル鋳鉄」と呼ばれ、黒鉛部にかかる応力集中が小さいため機械的性質が優れている。
なお、JIS G 5526(ダクタイル鋳鉄管)に規定されている機械的性質は、引張強さ420N/mm2以上、伸び10%以上となっている。
また、「ダクタイル鋳鉄」、「鋼(SS400)」の光学顕微鏡組織を以下に示す。
 
ダクタイル鋳鉄 鋼(SS400)
   

ダクタイル鉄管の継手名称(K形、S形)はどういう意味があるのですか?
   
 ダクタイル鉄管は用途や工法に応じた各種継手が製品化されています。それぞれの継手はK形やS形などという名称(接合形式という)で呼ばれていますが、これらの名称は、継手の機能や特徴を表す日本語のローマ字表記や英語の頭文字になっています。
 
K形・・・・・・・・・・・ Kairyou(改良):角ゴムだけのメカニカル継手(A形)を改良し、角ゴムと丸ゴムを一体化したゴム輪を使用し水密性を一層高めました。
T形・・・・・・・・・・・ Tyton(タイトン):受口にゴム輪を装着し挿し口を挿入するのみで接合できる継手であり、プッシュオンタイプ、タイトンタイプなどと呼ばれています。
Tは、タイトン(Tyton)の頭文字です。タイトンとはUS PIPE (米国の鉄管メーカー)の商品名です。
U形・・・・・・・・・・・ Uchigawa(内側):管の内側から接合を行う継手で、トンネル内や開削溝幅の狭い場所での接合に使用します。
S形、SII形・・・・・ Seismal(地震の):継手部が大きな伸縮性、可とう性および離脱防止機構を備えており、優れた耐震性を有しています。
NS形・・・・・・・・・・ NewS(新しいS形):SII形と同等の耐震性能を有し、施工性にすぐれた新しく開発された継手です。
US形・・・・・・・・・・ U+S:U形をベースにした内面接合用の耐震継手です。
KF形・・・・・・・・・・ KFix(固定):K形をベースにした離脱防止継手であり、異形管まわりなど水圧による不平均力に耐えるよう管路を一体化するときに使用します。
UF形・・・・・・・・・・ UF:U形をベースにした離脱防止継手です。
PI、PII形・・・・・ Pipe-in-pipe(パイプ・イン・パイプ):既設管に新管を挿入することによって管路を更新できるパイプ・イン・パイプエ法用の継手です。
   

ダクタイル鉄管の外面塗装は何故黒いのですか?
   
 鋳鉄管の外面塗装は、経済的で耐久性に優れているとの理由から、古くはコールタール塗装やアスファルト塗装が用いられていました。
 これは、我が国よりも歴史が古い欧米でも同様であります。コールタールは、どのような着色顔料を混ぜても色を黒色から変えることは不可能であり、必然的に鋳鉄管の外面の色は黒色になりました。
   その後、昭和40年代になって、コールタールとエポキシ樹脂が一緒になったタールエポキシ樹脂塗料が耐久性に優れているとのことで、造船業界をはじめとした多くの防食分野で用いられ始め、鋳鉄管の外面にも用いられるようになりました。この場合も、塗料の色はコールタールの関係でやはり黒色でした。
 昭和50年代に入って、コールタールが労働安全衛生面などで問題になり始め、タールエポキシ樹脂塗料に変えて、エポキシ樹脂系やアクリル樹脂系などの塗料が用いられるようになり、現在に至っています。これらの塗料では、従来と同じ色ということで着色顔料にカーボンブラックを配合して黒色にしています。
 なお、着色顔料を変えれば色の変更は可能ですが、重厚感や安心感などの面で黒色が最も良いという顧客が多いと聞いています。
   

ダクタイル管は溶接による補修ができますか?
   
鋳鉄は一般に鋼と比べて溶接性が劣るとされていますが、ダクタイル鋳鉄の場合、鋳鉄用の溶接棒(鉄−ニッケル系)を使用すれば、母材とほぼ同等の強度・靭性を確保することができます。
   通常用いられている軟鋼用の溶接棒でダクタイル鋳鉄を溶接した場合、溶接部にセメンタイトやマルテンサイトと呼ばれる脆(もろ)い組織が析出しますが、鉄−ニッケル系の鋳鉄用の溶接棒を用いることで、前述した脆い組織の析出を抑制できるため、母材とほぼ同等の強度・靭性を確保することができます。
 従って、万一不幸にして、ダクタイル管が局所的な損傷を受けたような場合(例えば、ボーリングロッドあるいは掘削機械によって孔があけられたような場合)に、溶接で補修することとは、鋳鉄の溶接施工法(溶接棒の選定、低電流等)を守り、ある一定レベル以上の溶接施工技能を有する者が行えば十分可能であり、当金溶接(パッチ当て)によって補修した水道管の実例もあります。応急的な措置としての溶接補修であれば問題なく行われています。
   

ダクタイル管のゴム輪の耐用年数は?
   
 ダクタイル管に使用されるゴム輪の役割は、継手の水密性能を保つことです。従って、ゴム輪の耐用年数は、水密性能が保たれる年数ということになります。
  ゴム輪の水密性能と密接な関係がある特性として永久変形があります。普通、ゴムは力を加えて変形させても力を取り除くと元の形に戻る特性がありますが、長期間にわたって変形させた状態で放置すると、変形量の一部が元に戻らなくなります。これを永久変形と言います。
 ゴム輪の場合で考えますと、通常ゴム輪は数10%圧縮させて用いられ、それが元に戻ろうとする圧力で優れた水密性能を発揮します。しかしながら、長期間使用されると一部分が永久変形を起こし、水密性能に寄与する圧力が若干減少します。圧縮された部分がすべて永久変形すると、圧縮された状態のままで戻ろうとする圧力が無くなり、水密性能が失われることになります。
この程度を評価する方法として、圧縮永久ひずみ試験があります。この方法では、円柱状のゴム試験片を2枚の金属板に挟み、高さ方向に数10%圧縮させた状態で放置します。そして所定期間後に試験片を取り出し、最初の寸法と比較し、減少した分の寸法の圧縮させた寸法に対する割合を求めます。これを圧縮永久ひずみ率と呼んでいます。
 下の図は、K形継手用丸ゴム部の圧縮永久ひずみ率の経年変化を調べた試験結果から数十年先の変化を推定したものですが、数十年経過しても圧縮永久ひずみ率は30%前後であり、十分な水密性能を保っていると推定されます。
また、実際に数十年使用された管のゴム輪を調査し、良好な水密性能が保たれていることも確認されています。

   

ダクタイル鉄管の「ダクタイル」とはどういう意味ですか。
   
 「ダクタイル」とは、英語の「Ductile」のことで、延性のある、強靭なという意味の形容詞です。1948年、鋳鉄組織内の析出黒鉛形状を片状から球状に変えた「球状黒鉛鋳鉄」が開発され、片状黒鉛鋳鉄の2倍以上の強度と高い靭性を有したことから「ダクタイル鋳鉄」と呼ばれました。その後、「ダクタイル鋳鉄」を素材とする鉄管が開発され、「ダクタイル鉄管」が誕生しました。
   
   

接合部品の材質にFCD400−15やFCD450−10とありますが、どんな材質でしょうか。(記号の意味)
   
 FCD400−15やFCD450−10は、JIS G 5502で規定されている球状黒鉛鋳鉄品(ダクタイル鋳鉄品)です。アルファベット文字「FCD」のFはFerrum(ラテン語:鉄)、CはCasting(鋳物)、DはDuctile(延性のある、強靭な)の頭文字です。また、アルファベット文字に続く数字の「400−15」や「450−10」は材料の機械的性質を示しており、「400−15」は引張強さ400N/mm2以上、伸び15%以上、「450−10」は引張り強さ450N/mm2以上、伸び10%以上の材料であることを意味します。
   
   

普通鋳鉄と高級鋳鉄はどう違うのですか。
   

 日本の水道に初めて鋳鉄管が使用されたのは明治18年(1885年:横浜市)でしたが、当時鋳鉄管は日本国内で生産されておらず、イギリスから輸入されたものでした。その後、国内でも独自の鋳鉄管技術やノウハウを蓄積し、明治40年代に入るとほぼ全てを国産品でまかなえるようになりました。それ以降になると鋳鉄の高強度化の研究が進められ、昭和5年(1930年)に引張強さ25kgf/mm2を越える材質の鋳鉄管が登場しました(当時の上水協議会(日本水道協会の前身)規格は12.5kgf/mm2)。この鋳鉄管は「高級鋳鉄管」と名付けられ、従来の鋳鉄管を高級鋳鉄管と明確に区別するために「普通鋳鉄管」と称するようになりました。「普通鋳鉄」「高級鋳鉄」は水道用語であり、学術上は、同じねずみ鋳鉄(片状黒鉛鋳鉄)に分類されます。
 普通鋳鉄管と高級鋳鉄管の違いを明確に言えば、顕微鏡組織の基地組織と黒鉛形状の違いにあります。普通鋳鉄管の基地組織はフェライト組織(白い部分)で、黒鉛の形(片状の黒い部分)が大きく長いのに対し、高級鋳鉄管の基地組織はパーライト組織(灰色の部分)で、黒鉛の形は小さく短い。パーライトはフェライトよりも強く、高級鋳鉄管は普通鋳鉄管より高強度が得られます(黒鉛にはほとんど強度がない)。
 このような高級鋳鉄管を造るには、溶解材料に不純物の少ない厳選した鋼片を加えるのですが、安定した品質や高い生産性が得られたのは、鋼片の量の加減、それを溶解するための昇温技術、型への鋳込み温度を上げて湯流れをよくする手段、炉や鋳物砂の耐火度の改善など一連の緻密な研究を地道に積み重ねた結果でした。

普通鋳鉄管の組織(100倍)
高級鋳鉄管の組織(100倍)

 

   

ダクタイル鉄管は高水圧にも使用できますか。
   

 ダクタイル鉄管の保証水圧は破壊水圧の70%とし、かつ最高を9.8MPaとしたものです。これは−般に呼び径が小さいほど高く、大きくなるにつれて低下します。その一例を表1に示します。また、正規に接合された継手部の保証水圧もこれらと同じです。したがって、管と継手は概ね5MPa以上という高水圧に耐えるものになっています。
 一方、管路中にはフランジや各種弁類などの属具が存在しており、それぞれ使用最高圧力が決められています。これらは管の保証水圧に比べて低いため、管路としてみた場合の使用最高圧力は一般にこれらの制約を受けることになります。例えば、ダクタイル鋳鉄製の7.5Kフランジの設計圧力は1.27MPa 1)、10Kフランジは1.37MPa 2)、16Kフランジは2.16MPa 2)、20Kフランジは2.75MPa 2)であり、このような仕様の選択が重要となります。
 参考までに、表2に高水圧で使用されたダクタイル管路の例を示します。

1) JWWA G 113・114 解説による。
  2) JIS B 2239による。

 
表1 管の保証水圧 3)
単位 MPa
呼び径(mm)
1種管
2種管
3種管
4種管
PF種管
75
9.8
-
9.8
-
-
300
9.8
-
9.8
-
9.8
600
9.1
8.2
7.4
6.9
9.8
900
8.3
7.3
6.7
6.1
8.8
1200
8.1
7.1
6.3
5.6
8.3
1500
7.8
6.9
6.0
5.5
7.9
1800
7.7
6.7
5.8
5.4
7.7
2100
7.6
6.6
5.8
5.2
7.6
2600
7.6
6.6
5.7
5.2
7.1
注3) JWWA G 113・114 解説による。

 
表2 高水圧管路の例 4)
事業体
最高使用
静水圧
(MPa)
呼び径
(mm)
延長
(m)
管種
接合形式
用途
A市 
3.34
100
6,090
PF種
K形
上水道
B県 
1.99
200〜400
8,000
3種
K形
潅漑用
2.00
150〜300
3,000
3種
K形
K県 
2.55
500
600
1種他
K形
L電力
3.17
500
300
PF種
K形
電力
M市 
1.90
500・600
3,500
1種
K形
上水道
N県 
2.52
600
2,428
1種
K形
O局 
2.40
600
2,000
2種
K形
2.50
450
5,500
1種
T形
2.40
800
900
特種
K形、T形
注4) ダクタイル管路 設計と施工(JDPA T 23)日本ダクタイル鉄管協会より抜粋。
   

ダクタイル管路にも電食は発生するのですか?
   

 一般に電食とは、電気鉄道や防食設備のような人為的な電気設備からの直流電流に起因して発生する腐食のことを言います。電気鉄道は、殆どの場合架空単線式が採用されており、レールを電車電流の帰線として使用しています。その際にレールを流れる電流の一部が漏れ電流として地中に流れ込み、変電所付近で再び流出してレールに帰流することがあります。この時、地中に電流が流れるような埋設金属体があると、電流はこの金属体を通り、流出箇所で電食が発生することになります。

 また、防食設備のような人為的な電気設備では、防食電流を強制的に地中に流しており、これに近接する埋設金属体にその−部が流入することがあります。この場合も電流の流出する地点で電食が発生しますが、−般的には、このような設備は、周辺への影響を十分に配慮して設置されています。
 ダクタイル管路に対する影響については、継手が高い電気抵抗を有しており、漏れ電流の帰路となり難いだけでなく、防食設備等の影響も殆どないと考えています。(ポリエチレンスリーブが被せられている場合は更に電食の影響を受けにくい。)
 その他に、電気防食をしている埋設金属体と絶縁継手を介しているにもかかわらず、金属体の接地抵抗が低いために隣の金属体にジャンピングして電流が流れ込むことで発生するジャンピング腐食や交流電流による腐食がありますが、これまでダクタイル管路で確認された事例は殆どありません。
 電食といっても、さまざまな環境条件があり、状況によってはダクタイル鉄管に電食が発生することもあります。このような場合には、計画時に埋設環境の十分な調査を行い、必要な対策を施すと共に、埋設後の確認も併せて行うべきと考えます。

 

   

ダクタイル鋳鉄の金属組織では黒鉛が球状化していますが、どのようにして球状化させるのでしょうか。
   

黒鉛の球状化は、C(炭素)を約2.1%以上含有する溶鉄にMg(マグネシウム)、Ce(セ リウム)、RE(希土類元素)またはその合金を添加することで得られますが、経済的な理由でMgが最も多く使用されています。ただし、黒鉛の球状化の機構については完全な理論は未だ確立されていません。

  「何だ、Mgを添加するだけか」と思われるかもしれませんが、Mgの融点は650℃、沸点は1100℃で、いずれも溶鉄温度(低くても1450℃)より遥かに低いため、溶湯に不用意に投げ込んだりすると爆発的な反応(Mgの気化)が起こり、溶鉄が飛び散るので非常に危険です。工業化には様々な試行錯誤が繰り返され、各々の製造工場に適した様々な添加方法が開発されました。
 遠心力ダクタイル鉄管のように大量連続生産する場合は、それに適した方法として、 「Mgの圧力添加法」を採用しています。圧力添加法とは、沸点は気圧の影響を受けること(富士山の頂上では100℃以下で水が沸騰するのが一例)を利用した方法で、高圧の圧力容器内でMgを添加すると、沸点が上昇し、気化が起こりにくいためMgが溶鉄に溶け込みやすくなります。

ダクタイル鋳鉄の金属組織(100倍)
   

エポキシ樹脂粉体塗料の塗装方法について教えて下さい。
   
 粉体塗料の塗装方法としては、(1)吹き付け法、(2)静電塗装法、(3)流動浸漬法、(4)溶射法などの様々な塗装方法があります。一般に、ダクタイル直管には回転吹きつけ法、異形管類には静電塗装法が採用されています。これらの塗装方法の特徴は次の通りです。

(1)回転吹き付け法
   空気等を利用して、エポキシ樹脂粉体塗料を圧送して回転する管に吹き付けて塗装する方法です。この方法は主に直管に採用されており、均一に塗装するため、予熱した管(160〜230℃)を回転させながら塗装します。
(2)静電塗装法
   粉体塗料をスプレーガンに送り、そのノズルの先で高電圧(4万〜8万ボルト)によりイオン化された空気によってマイナスに帯電させ、予熱しておいた被塗物にクローン力で付着させ、粉体塗料が溶融して塗膜とする方法です。この方法は、複雑な形状でも均一な塗膜厚が得られるため主に異形管類に使用されています。
(3)流動浸漬法
   管を予熱しておいて、流動化したエポキシ樹脂粉体塗料槽に浸漬し、管の表面に塗料を融着させた後、管の保有熱でそのまま硬化させるか、あるいはその後必要に応じて加熱焼付けさせる方法です。この方法は、異形管に用いることがあります。
(4)溶射法
   粉体塗料をスプレーガンの先端で炎によって溶融させて、予熱された被塗物に吹き付ける方法です。なお、この方法は塗膜の品質にバラツキが生じやすいため、現時点ではあまり使用されておりません。
   

高機能ダクタイル鉄管のシンボルマークにどのような意味がありますか?
   
 日本ダクタイル鉄管協会では、水道事業体を始めとするユーザーからの要望に応え、将来に向かって高水準の水道システム構築を提案させて頂くため、次世代(Next Standard)に託するダクタイル鉄管(D)として高機能ダクタイル鉄管を標準製品と位置付けました。
さらに、「水道ビジョン」で示された施策の内容および施策目標を実現するために、これからの水道管路に求められるコンセプトを検討した結果、(1)いつでも安定した水供給、(2)丈夫で長持ち、(3)安心、快適な水供給、(4)コスト縮減の4項目と結論付けました。そこで、この4つのコンセプト(右上の4つの楕円)に合ったダクタイル鉄管(D)という意味で、シンボルマークを決めました。
高機能ダクタイル鉄管
 

普通鋳鉄管および高級鋳鉄管はいつ頃まで製造されていましたか?
   
 鋳鉄管、ダクタイル鉄管の変遷を以下の表に示しております。普通鋳鉄管は1940年頃まで、高級鋳鉄管は1930〜1971年頃まで製造されておりました。その間に種々の技術開発が行われ、耐震性能および外面防食能が飛躍的に向上した第4世代である高機能ダクタイル鉄管へと発展してきています。

ダクタイル鉄管と高級鋳鉄管とを見分ける方法はありますか?
   
 ダクタイル鉄管と高級鋳鉄管とを見分ける方法としては、以下に示します外観検査や顕微鏡法があります。

(1)外観検査

 受口端面側の刻印を見て判断することができます。受口部の表示マーク中に「D」に記号があればダクタイル鉄管であり、「コ」(高圧管の意味)や「フ」(普通圧管の意味)や「テ」(低圧管)の記号があれば高級鋳鉄管と判断できます。
 また、継手形状や管厚を測定し、その値と当時の規格寸法とを比べて見分けることが可能な場合もあります。
(2)顕微鏡法
 管の表面を鏡面研磨し、携帯顕微鏡で黒鉛状況を観察して判断する方法です。黒鉛が線状であれば高級鋳鉄管であり、球状であればダクタイル鉄管です。

不平均力はどのようなところで働きますか?
   
 管路の屈曲部、分岐部、末端の栓やバルブなどには、水圧によって管を動かそうとする力が働きます。この力を不平均力といい、下図の矢印の方向に働きます。そのためこのような場所には、コンクリートブロックなどによる防護か、離脱防止継手を用いることが必要になります。
 

鋳鉄管の表記で「DCIP」、「DIP」や「FCD」とあるが、それらはどういう意味でしょうか。
   
 「DCIP」、「DIP」は、ダクタイル鉄管を表す記号として用いられています。「DCIP」はDuctile(延性のある、強靭な)Cast Iron(鋳鉄)Pipeの頭文字をとったものであり、「DIP」はDuctile Iron(鉄)Pipeの頭文字をとったものです。一方の「FCD」は、JIS規格で用いられる鉄鋼材料の材質・用途を表す記号であり、球状黒鉛鋳鉄品を表す記号として用いられています。「FCD」はFerrum(鉄)Casting(鋳鉄)Ductile(延性のある、強靭な)の頭文字をとったものです。
 なお、ダクタイル鋳鉄とは、一般的に球状黒鉛鋳鉄(FCD)を材質とした管と言うことができます。
 

1種管〜5種管とはどういう意味ですか。
   
 ダクタイル鉄管は、使用条件や用途に応じて、最適な管厚を選定できるように種類分けされています。また、継手形式によっても種類分けされているものもあります。下表に種類および記号を示します。
 
 
表 種類および記号
 
  ※JIS G 5526では中間管種(1.5種管〜4.5種管)も規定されています。
   
  ※農業用水用規格には、別途、下記の農A種管〜農D種管も規定されています。
 
   

ゴム輪の耐久性について教えて下さい。
   
 ダクタイル鉄管に使用されるゴム輪の役割は、継手の水密性能を保つことです。従って、ゴム輪の耐用年数は、水密性能が保たれる年数ということになります。
 当協会では、K形およびNS形用ゴム輪を継手に組み込んだ状態で侵漬調査を行い、経過時間と圧縮永久ひずみ率の関係を確認しております。図1に経過時間と圧縮永久ひずみ率の関係を示します。
 
 
  圧縮永久ひずみ率
   ゴム輪を圧縮状態から解放した時に元の寸法に復元しない割合を示す値。継手部が水密性を確保するために必要なゴム輪の圧縮率は8%とされている。圧縮率8%以上を得るために許容できるゴム輪の圧縮永久ひずみ率(A)は78%以下である。
 
 
図1 圧縮永久ひずみ率の経時変化
   
   圧縮永久ひずみ率は時間の経過と共に増加する傾向を示し、10年後で16.5〜40%を示しました。なお、調査結果より100年間使用した場合を予想すると、圧縮永久ひずみ率は60%以下となり、水密性を確保するために必要な圧縮率を維持していることがわかります。
 また、実際に8〜36年間使用した掘り上げ管(T形)の調査より、硬さ(図2)および引張強さ(図3)の変化が当初と比較して僅かであることを確認しています。
 
 
図2 T形ゴム輪バルブ部硬さ
   
 
 
図3 T形ゴム輪バルブ部引張強さ
   
  ※図1〜図3は、第59回全国水道研究発表会予稿集(ダクタイル鉄管用ゴム輪の耐久性に関する調査結果)より引用。